マリオネットを操るためにはすごく高度な技術が必要だとお考えの方が多いようですが、自分が楽しむために動かす分には難しく考える必要などありません。ようは “習うより、慣れろ!” まずは、コントロール(操作する部分)を手に姿見(鏡)に向かって立ってみてください。
マリオネットを操るときは人形の横に人形に向かって少し斜めに体を開いて立ちます。コントロールは左右どちらの手で持ってもけっこうです。とりあえず、利き手でコントロールの縦棒の真ん中あたりを親指と中指(薬指も添えて)で挟むように持ってみてください。
まずマリオネットをきちんと立たせてみましょう。「きちんと立つ」と言うからには、足がしっかりと地面(床)に着いていて、膝が極端に曲がっていないことが前提です。人間が自然にする体の動きをイメージしてください。足が宙に浮いていたり、腰が落ちた状態で立っているのは、普通の人間にはとても大変なことですから。

きちんと立つことができたら、次にお辞儀をさせてみます。コントロールを前に傾けてみてください。頭は自分の重さでお辞儀をします。お辞儀をしたときも、足が宙に浮いたり、曲がったりしないように。さらに深いお辞儀をさせたいときは、腰の糸(いちばん後ろの糸です)を引っ張りながら、コントロールを前方に下げます。
座る動作は、おじぎをするよりももっと簡単です。コントロールを垂直に持ったまま、少し後ろぎみに低くしてみます。人形の後ろに小さなイスや台があればこれだけでちゃんと座ってくれます。何もなしで座らせると空気イスみたいでかわいそうですから、自分の後方の足のつま先を少し持ち上げてイス替わりにしてあげましょう。
次は、座ったままで、首を横に傾げるポーズをやってみましょう。コントロールを左右に傾ければ、その傾きに応じて人形の首も左右に傾げます。座らせた状態は、立っているときと違って、首の関節が引っ張られていませんから、比較的自由に首を動かすことができます。頷かせたり、左右に傾げたり、下をむきながらイヤイヤをしたり……。これだけでずいぶん表情が出るものです。
頭の動きに手の動きが加わると、人形はさらに多くの表情を見せてくれます。空いているほうの手で人形の手の糸を動かしてみてください。2本の糸を同じ位置でいっしょにつまんでしまうと、バンザイしか出来ませんから、2本の糸をなるべく離して持って、それぞれに動かすようにしてみます。例えば、片方の糸を小指にひっかけ、片方の糸を中指や人指し指や中指で動かすというイメージでしょうか。
これがとても面倒だというかたは、コントロールの金具の輪に結んである糸をほどいて、一本でつなげてみてください。こうすれば、左手の糸を下に引けば右手が上がるというふうに両手が連動するようになります。どちらが操り易いかは、人それぞれです。いろいろ試してみてください。
次は、いよいよ歩くための第一歩です。コントロールの上側の横棒を、親指と中指の上にのせるかたちで持ち(人指し指と中指で挟むようにすると安定します。ただし、縦の軸には触れないように)、人形にしっかり地面を踏ませて立たせてみてください。左右の足の糸は、シーソーする横棒に結ばれていますから、コントロールの高さ変えずに横棒の手前の端が上下するようにシーソーさせれば、自然と足踏みをするわけです。横棒の手前の端が下にあるときは、向こう側の端は上にあり、手前の端が上にあるときは、向こう側の端は下にあるというごく簡単な理屈です。「コントロールの高さを変えずに」というのは、高さが変われば足が宙に浮くか膝が曲がってしまって、とても不自然な足踏みになってしまうからです。
少し慣れれば、人形にタップダンスをさせることもできます。音楽にでも合わせて、軽やかにステップを踏んでみてください。
うまく足踏みが出来るようになったら、そのまま前に歩かせてみましょう。そのとき、自分も少し遅れて脇を歩きます。自分が立ち止まったままで人形だけ歩かせてしまうと、いくら長い腕があっても足りませんから。
慣れてきたら、歩きながら、手も少し動かしてあげましょう。体の小さな人形は、ほんの少しの動きで十分魅力的な表現ができます。大げさな慌ただしい動きは、かえって人形の魅力を半減させてしまいますから、要注意です。